住宅エコポイント復活とフラット35S金利引き下げ幅拡大

平成26年度補正予算が1月9日に閣議決定された。これを受けて、国土交通省は住宅政策の目玉となる「省エネ住宅ポイント制度」と「フラット35S金利引き下げ幅拡大」についての概要を公表した。住宅の建築や購入を検討している人には注目の制度になるので、その内容を紹介していこう。

住宅エコポイントの復活版「省エネ住宅ポイント制度」とは?

「省エネ住宅ポイント制度」は、かつての住宅エコポイントと同様に、国が定めた省エネ基準を満たしたエコ住宅を新築(購入を含む)した場合やエコリフォームをした場合に、ポイント(1ポイント=1円に相当)が受け取れる制度。新築、購入の場合で30万ポイント、リフォームの場合(工事内容に応じたポイント加算方式)で最大30万ポイント(併せて耐震改修を行う場合は最大45万ポイント)が受け取れる。

■対象となる住宅と求められる省エネ性能
○エコ住宅の新築や購入
省エネ住宅として求められる性能は「トップランナー基準」や「断熱等性能等級4」の木造住宅などが挙げられているが、いずれの基準の場合でも高い省エネ性能が求められることになる。
※省エネ住宅ポイント制度では、完成済みの新築住宅を購入する場合も含む

○エコリフォーム
・窓の断熱改修
・外壁、屋根・天井、床の断熱改修
・設備のエコ改修
上記3つのいずれかにおいて一定レベルの改修工事が対象で、これらと同時にバリアフリー改修やエコ設備の設置、リフォーム瑕疵(かし)保険の加入、耐震改修を行う場合は、これらもポイントの対象になる。
※省エネ住宅ポイント制度では、中古住宅の購入と併せてエコリフォームを行う場合には、10万ポイントを上限として加算可能

■対象期間
○エコ住宅の新築・購入、エコリフォームの場合
工事請負契約日は、平成26年12月27日以降に契約(すでに締結した契約を着工前に変更する場合を含む)したものが対象
工事の着工日と完了日は、工事請負契約締結日から平成28年3月31日までの間に工事に着工し、予算成立日以降に工事が完了する(完了報告が必要)ものが対象

○完成済み新築住宅を購入する場合
平成26年12月26日までに建築基準法に基づく完了検査の検査済証が発行されたもので、予算成立日以降に売買契約を締結した新築住宅が対象(着工日の条件なし)

気を付けたいのが、対象期間だ。契約日や着工日、工事完了日などで、細かい条件が設定されている。さらに、予算枠までという条件もある。前回の「復興支援・住宅エコポイント」では、予算枠に達したために早期に受付を終了する事態となった。

さらに低金利、「フラット35S」の金利引き下げ幅の拡大とは?

35年などの長期間にわたり金利が固定される「長期固定型」の代表的な住宅ローンが「フラット35」だ。住宅金融支援機構と民間金融機関が提携する住宅ローンで、取り扱う金融機関によって金利が異なる。

「フラット35S」は、フラット35を利用できる条件を満たす住宅のうち、省エネ性や耐震性などに優れた住宅の場合、当初の5年間または10年間(※)、金利を0.3%引き下げる制度だ。
※長期優良住宅など特に性能が優れた場合は当初10年間、それ以外は当初5年間

フラット35Sの金利引き下げ幅を、これまでの0.3%から0.6%に拡充するというのが今回の政策だ。例えば、フラット35の2015年1月の適用金利は最多の金利で1.47%なので、フラット35Sが利用できる場合は、当初5年間0.87%に、6年目以降は1.47%になる。3000万円を35年返済で借りる場合、フラット35とフラット35Sを比べると、約94万円総返済額を抑えられるという計算になる。

ただし、金利引き下げ幅拡大は、26年度補正予算成立後速やかに開始し、最大1年間となっている。今すぐというわけにはいかないが、制度が開始されてからローン資金を受け取る場合は、引き下げ幅拡大の対象となる。

これだけではない。現状で「フラット35」を借りる場合、物件価格の9割以下なら1月の最多の金利が1.47%となるが、9割を超えて借りる場合は金利が0.44%上乗せされる。つまり、1.91%になる。この上乗せ分を引き下げるという政策も取られることになっている。

ただし、予算枠までという条件は、こちらも同じだ。平成22年から23年にかけて、フラット35Sの当初金利引き下げ幅を1.0%に拡大した際には、予算枠に達して早期終了したこともある。

さて、「省エネ住宅ポイント制度」も「フラット35S金利引き下げ幅拡大」も、26年度補正予算の成立を前提としている。補正予算案は1月26日に召集される国会で審議され、2月中旬ごろ成立する見込みだ。今は正式に制度が成立する前ではあるが、成立してから動いたのでは遅い場合もあるので、今から制度内容を理解して、上手に活用しよう。
また、予算枠を気にして焦って行動に出るのは本末転倒。本当に欲しい物件か、本当に必要な性能か、利用したいローンか、よく考えて選ぶようにしてほしい。